生産工程
わたを育てる
琵琶湖ほどの広さがある契約農家の畑は、かつて一度も農薬・肥料を使ったことのない大地で、作業はすべて手作業。毎日、鍬で土を 耕します。耕すことにより土に新鮮な空気が入り、水分の吸収が良くなるのです。無農薬の秘訣は虫が嫌うにんにくを裏作で栽培しているから。「それでも虫は少しは出る。けど、手でとれるくらいの量だから大丈夫。」昔から変わらない方法で棉づくりをしてくれているファンさんは、笑ってそう話してくれます。
糸をつむぐ
糸紡ぎは農家のおばあさん達の仕事です。 おばあさんたちは5~6歳の少女の頃から ずっと紡いでいるそうです。 糸の太さの違いは指先の感覚だけが頼り。 手紡ぎの糸があんなにやさしいのは おばあさんの気持ちが指先から糸に伝わる から・・・かもしれません。一日に紡げるのはわ ずか200g。綿番手の10番単糸から30番単糸 までを紡ぐことのできる、すばらしい技術です。
染める/手捺染
やさしく大切に紡がれた糸を染めます。 浸染(糸染め)と手捺染(布染め)により 益久の色へ生まれ変わります。 化学染料染め、天然染料による染め、 両方を行っています。 化学染料は安全なアゾフリー染料を使用。 柿渋染めは柿の木から育てており、 染料を自家生産しています。
補修
それでも、手紡ぎ糸は繊細なため織機に かけると必ず糸が切れ、織り上がった布1mの中には 何箇所も糸切れ箇所があります。 そこで一目一目縫うように糸切れの補修作業を行います。 この作業を行うのは機からおろしてすぐと、 糊抜き洗いをしたあとの2回。 とても根気のいる作業です。
縫製・ふさ結び
縫製する生地もほとんどが手裁断。 熟練したスタッフが1枚ずつ丁寧に裁断します。 ストールのふさ結びも、 時間と技術を要する細かな作業です。 指先の指紋がなくならないように、 交代で行います。 かなり時間のかかる作業で1日に2枚の ストールのふさ結びがやっと。